遺産・相続・遺言について

相続問題について

身内や親族の方が亡くなられると、遺産相続の問題が発生します。
相続問題は財産がある場合だけでなく,借金がある場合もあります。

昔と違って、みなさんの権利意識が高くなっているため対処方法を間違うと親族間で激しい紛争に発展することがあります。
そうならないためには、相続についての正しい知識を持っておく必要があります。

問題となる場面ごとに分けてご説明しましょう。

ご家族の方がなくなられた場合

亡くなられた方が遺言書を残されていないかお調べください。
公正証書遺言以外の遺言書(自筆証書遺言・秘密証書遺言)の場合は、家庭裁判所に遺言書の検認の手続をしなければなりません。

また、亡くなられた方の財産および債務を調べてリストを作成して下さい。

遺言書によって名義変更等の承継ができる場合は、その手続を進めていくことになります。
遺言書がない場合は、遺産分割が必要となります。

亡くなられた方の戸籍謄本を全部(生まれたときまで遡ってとる必要があります)を取り寄せて、相続人がどなたか確定する必要があります。
その上で、相続人全員で遺産分割の話し合いをすることになります。合意に達した場合は,遺産分割協議書を作成したうえで分割します。

相続人の問で分割についての意見が一致できなかった場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立て、調停において話し合いを進めることになります。
相続人確定・遺産目録の作成・遺産分割方法の検討など専門的な知識が必要になりますので、弁護士にご相談されることをお奨めします。

亡くなられた方を被保険者とする生命保険の保険金請求も忘れないようにして下さい。

遠方の親族の方がなくなられた場合

一緒に生活をしてなかった親族の方が亡くなられ、その相続人の1人になるという場合があります。
亡くなられた方が財産や借金などを残した場合は、相続人の1人として何らかの関与をしなければならなくなります。

しかし、亡くなられた方が財産や債務を残されたのかどうかよくわからない場合もあります。
まず、法事などで親族が顔を合わせたときなどに遺産分割の必要があるのか?必要な場合、どのようにしして遺産分割する予定であるのか?を尋ねておく必要があります。

残った財産があるという場合は、財産のリストを作成して送ってもらうようお願いして下さい。(相続税の申告をされている場合申告書の写しを送ってもらってもいいと思います)

このリストを見ないと、遺産分割についてどう対応していいのか判断ができません。
財産リストを送ってもらえない場合は直ちに弁護士に相談されることをお奨めします。

逆に、他の相続人の方から書面に署名押印をして下さいとお願いされることがあります。よく見ないまま署名捺印される方がありますが、遺産を他の相続人に取得させるための書類であることがありますので気をつけて下さい。

この場合も遺産のリストをもらって十分に検討したうえで、署名押印するかどうかを決めて下さい。
相続人の問で遺産分割が完結しない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、そこで解決を図ることになります。

相続分について

遺言書がない場合、遺産分割の基準となるのが相続分です。

亡くなった方と相続人との関係に応じて、民法は相続分を定めています。
例えば、相続人が配偶者と子の場合、配偶者が1/2、子どもが1/2を子供の数で割った分となっています。

ただし、この相続分どおりに分割しなければならないわけではありません。相続人が主張できる限度を示すものと考えた方がいいと思います。
また、これを修正する場合も民法は定めています。特別受益と寄与分です。
亡くなった方が生前一部の相続人だけに財産分けをしていた場合が特別受益として、その分を遺産分割の取得分から差し引くことができることになっています。

逆に生前、事業を手伝ったり、療養看護につとめるなど亡くなられた方の財産の維持又は増加に特別の貢献をされている場合、寄与分という割り増し分をもらえることになります。

借金が残っていた場合

亡くなられた方が借金や債務(保証債務)を負っておられた場合、借金や債務も相続します。
しかし、財産よりも借金が多い場合は借金を受け継ぎたくないというのが人情です。

その場合、自分に相続問題が起きたことを知った日から3ケ月以内であれば相続の放棄をして借金を拒否することができます。
相続の放棄をするためには、家庭裁判所に相続放棄の申述書という書面を提出する必要があります。ただし、相続の放棄をした場合は,相続財産を取得することもできなくなりますので,ご注意ください。

相続人の1人が行方不明の場合

相続人のうち1人だけが行方不明になっていて、連絡がつかない場合があります。

しかし、遺産分割を早急に進めたい場合に行方不明の相続人の署名捺印がもらえないため、遺産分割が進められないことがあります。
この場合、その方の戸籍の附票をとって住民票の所在地に住んでいないかなど一定の調査を行い、それでも見つからない場合は家庭裁判所に申立をして不在者財産管理人を選任してもらい、遺産分割を進めるという方法があります。

遺言書をつくっておきたい場合

これまでは相続が発生したあとのお話をしましたが、相続発生前のお話をしましょう。

将来自分が亡くなったときに、子どもたちの問で相続の争いが起きないようにしておきたいという場合があります。

その場合、遺言書を作成されることをお奨めします。

長年蓄えてきた財産であれば、残された配偶者・子や孫に役立ててほしいと思うものです。
財産の分け方についての自分の考えを相続のときに反映させるためには、元気なうちに遺言書を作っておくことが必要です。

遺言書には一般に、自筆証書遺言・ 秘密証書遺言・公正証書遺言があります。

自筆で書かれる場合、遺言書に必要な要件(自筆で作成すること,日付,署名捺印が必要)を欠いたり、遺産の特定ができず無効になることもありますし、紛失したり偽造の争いが起きることもありますので、公正証書遺言を作成しておくのが安全です。

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赤坂協同法律事務所では、遺言書作成、遺産分割事件、遺言無効確認請求、遺留分侵害額請求、相続放棄申述など幅広く取り扱っております。

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