労働問題・雇用に関するトラブルの解決方法について

当事務所では、未払賃金請求、労災請求、残業代請求、各種ハラスメント、解雇事件など取り扱っております。

労働事件は、労使間で主張の対立が激しく、解決までに相応の時間がかかるケースもありますが、最近は、労働審判を活用することで迅速に解決を図ることができます。

経営者(使用者)の立場にある方、労働者の立場にある方、いずれの立場のご依頼者からの相談もお受けしております。泣き寝入りせずに、是非お気軽に弁護士にご相談ください。

1 労働者の方からご相談の多いトラブル

(1) 賃金等の未払をめぐるトラブル

賃金の未払に対しては、労働者として、以下のような法的措置が可能です。
また、近時は、「残業代(時間外手当や休日出勤手当など)」の未払いをめぐるトラブルも多くなっていますが、この「残業代」についても、賃金の未払同様の法的措置が可能です。

(2) 勤務・通勤中の労災事故をめぐるトラブル

労働者が、業務上の事由によりまたは通勤により負傷、疾病、障害、死亡等をした場合には、使用者は、療養補償、休業補償、障害保証、遺族補償をしなければならないとされており(労基法75条以下)、また、労働者は、「労働者災害補償保険法」により、労災保険給付の申請をすることができます。
石綿(アスベスト)を取り扱うことで肺がんになった場合、あるいは、厳しい労働環境などが有力な原因となって心疾患や脳疾患、あるいは精神疾患を発症した場合などでは、業務災害(業務上上疾病)として労災保険給付を受けることができますが、労働基準監督署長の「労災認定」にあたり、この「業務起因性」が争われるケースもあります。
労災保険給付を認められない場合には、労働者災害補償保険審査官に対して「審査請求」をすることができ、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して「再審査請求」をすることができます。さらに、これらの不服申立てが認められなかった場合等には、当該処分の取消しを求める行政訴訟を提起することも考えられます。
なお、公務員の場合には、「国家公務員災害補償法」または「地方公務員災害補償法」により給付を受けることになります。

2 労働者・経営者双方の立場からご相談が多いトラブル

(1) 解雇をめぐるトラブル

– 解雇に関する法的問題 –

解雇には、①普通解雇、②整理解雇、③懲戒解雇などがあります。
まず、形式面に関して、いずれの解雇を行う場合でも、原則として、少なくとも30日前の解雇予告または解雇予告手当の支払(労基法20条)が必要となります。また、労働者からの請求があれば、解雇理由についての証明書を交付しなければなりません(労基法22条)。
次に、内容面に関して、解雇理由の制限として、労働契約法は以下のように規定しています。
労働契約法16条
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
◆◇整理解雇の場合◆◇
この労働契約法16条の意味ですが、具体的には、例えば、「整理解雇」の場合には、判例上、以下に掲げる「整理解雇の4要件」といわれる要件(要素)を満たしているかどうかが、実務上よく問題となります。

① 人員削減の必要性があるかどうか

② 解雇を回避するための努力が尽くされているかどうか

③ 解雇される者の選定基準および選定が合理的であるかどうか

④ 事前に、説明・協議義務を尽くしたかどうか

◆◇懲戒解雇の場合◆◇
懲戒解雇の場合には、さらに労働契約法に懲戒についての規定があり、以下のように規定しています。
労働契約法15条
「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質および態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」
実務上は、以下のような点がよく問題となります。
① 懲戒事由等を明定する合理的な規定(就業規則における懲戒規定など)が存在するかどうか

② 規定に該当する懲戒事由があるかどうか

③ 不平等でないこと、懲戒事由と処分のバランスが取れていること、弁解の機会の付与など適正手続を経ていることなど、懲戒解雇の有効要件を充たしているかどうか

② 労働者の方の立場から
解雇に納得ができない場合、上記①で述べたような法的問題点に照らし、経営者側と交渉を行うこととなります。
そして、交渉による解決が望めない場合には、解雇の無効を前提として、以下のような法的措置が可能です。
① 民事保全手続の申立て(仮の地位を定める仮処分・賃金仮払いの仮処分)
裁判所が解雇の有効性に関して暫定的に無効であると判断した場合には、下記の②の民事裁判における最終的な判断が出されるまでの間、とりあえずの給与の支払を受けることができます。

② 民事裁判の提起
雇用関係が継続していることの確認および賃金等の支払を求めることとなりますが、証人尋問など一定の時間がかかります。

③ 労働審判
雇用関係が継続していることの確認および賃金等の支払を求めることとなりますが、原則3回の期日で解決を図る制度設計となっているため、上記②の民事裁判と比較して、格段に早く結論が得られます。

③ 経営者の方の立場から
何らかの原因・事由で、労働者を解雇する必要が生じた場合でも、上記①で述べたような法に従った適正な手続の遵守と解雇理由に関する慎重な検討が重要といえます。
そして、解雇に合理的な理由を欠く(と判断された)場合には、労働者側から、解雇の無効を主張され、上記②のような法的措置を申し立てられる可能性があり、また、解雇の違法性が極めて著しい場合などには、民事裁判等の手続の中で、解雇した労働者に対して、賃金の支払のみならず、一定の慰謝料の支払などの損害賠償を求められるケースもありますので、注意が必要です。

(2) セクシャルハラスメントやパワーハラスメント(アカデミックハラスメント)被害をめぐるトラブル

職場内において、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどの被害を受けた場合、上司などの行為者やこれを監督すべき立場にある企業等に対して、慰謝料の支払などの損害賠償を請求することが考えられます(民法415条、同法709、715条)。

しかし、ご相談者の方が、引き続き当該企業等での勤務や所属を希望されている場合には、損害賠償等を求める民事裁判を行うということは、大きな心理的な負担等を伴うこととなります。

そのため、いきなり、損害賠償等の民事裁判を提起するのではなく、企業等に対して、行為者の懲戒処分や良好な職場環境を構築するような改善策の実施等を求めたり、関係者または自身の異動を求めたりするなど、企業等との間で一定の交渉をすることが必要となるケースもあります。

他方、企業等においては、職場内において、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどの被害が発生した場合には、素早い対応が求められるケースもあり、その対応の仕方如何によっては、後日、その対応自体に対する責任を問う民事裁判等を受けることとなる危険性もあるため、注意が必要といえます。

3 その他の雇用をめぐるトラブル

当事務所では、

・人事異動や休職に関するトラブル
・就業規則の改訂など雇用契約の条件変更に関するトラブル
・退職金に関するトラブル
・懲戒に関するトラブル
・有期雇用契約・派遣労働契約・パートアルバイトに関するトラブル

などについても、法に従った解決を提供すべく随時ご相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談下さい。